1inch(ワンインチ)

DEXアグリゲーターの最強プラットフォーム『1inch』を解説
複数のDEXを1つにまとめて、最適レートでスワップできる革新的プロジェクト
プロジェクト概要
1inch(1INCH)は、複数の分散型取引所(DEX)から自動的に最適なレートを見つけてくれるサービスです。暗号資産を交換する際、様々なDEXで価格が異なりますが、1inchを使えば面倒な比較なしに最安値でのスワップが可能になります。
2019年のETH NewYorkハッカソンで誕生したこのプロジェクトは、わずか数年で業界の主要インフラとなりました。2020年12月には独自トークン「1INCH」を発行し、1inch DAO(分散型自律組織)がガバナンスを担う形になりました。
2025年10月1日には大規模なリブランディングを実施し、「DeFiアグリゲーターからDeFiインフラプロバイダーへ」という新たな方向性を打ち出しました。BinanceやMetaMaskなどの大手サービスとも統合され、DeFiのインフラとして着々と成長を続けています。
✓ 1inchの最大の特徴
・複数のDEXから最適レートを自動選択
・ガス代(ネットワーク手数料)が原則不要でスワップ可能(Fusionモード)
・13以上のブロックチェーンに対応
→ DeFi初心者から上級者まで、誰もが効率的な取引を実現
トークン情報
| ティッカー | 1INCH |
|---|---|
| 分野 | DEXアグリゲーター |
| 価格 | ¥23.49 |
| 時価総額 | ¥32,871,445,651(158位) |
| 国内上場 | 未上場 |
| 海外取引所 | Binance、Coinbase Exchange、Upbit、Gate.io、Bybit、Bitget等 |
| 対応ウォレット | MetaMask、Ledger、Trust Wallet、Binance Web3 Wallet等 |
上記データは2025年1月9日時点の情報となります。
1INCHトークンの使用用途
- ガバナンス投票 → 1inchプロトコルの改善提案に対する投票権を獲得
- ステーキング報酬 → 1INCHをロックして投票力(Unicorn Power)を得て、委任先に応じて報酬を受け取る
- 流動性提供 → プロトコルの流動性プールに資金を提供して報酬を獲得
1INCHトークン保有者は、単なる資産としてだけでなく、1inchネットワーク全体の意思決定に参加できます。インスタント・ガバナンス機能により、コミュニティの投票は迅速かつ透明性を保ちながら実行されます。なお、1inch DAOは2023年6月にSwap Surplus(スワップ取引の手数料差)の回収を停止しており、現在は第三者API提供者がサービス料として保持する場合があります。
事業モデル:収益構造と配分
1inchの収益源は現在、企業向けの商用API(Business/Enterprise)の利用料や、プロトコル統合に伴う商用契約が中心となっています。なお、かつて存在したスワップ取引時の価格差(Swap Surplus)の回収は、2023年に停止されています。
📊 主な収益源
① (企業向け)商用API(Business/Enterprise)の利用料
② プロトコル統合(API提供・商用契約など)
③ (注)Swap Surplus(価格差)の回収は2023年に停止
この収益モデルの優れた点は、取引量が増えるほどコミュニティ全体が潤うというwin-winの設計です。投資家、トレーダー、流動性プロバイダーが協調して1inchエコシステムを成長させることで、相互に利益を享受できる仕組みになっています。
トークン需要との相関関係と現状フェーズ
1INCHトークンの需要は、DEX利用者の増加とDeFi市場全体の成長に密接に連動しています。ブロックチェーン技術の普及に伴い、中央集権的な取引所から分散型取引所へのシフトが加速すれば、1inchの需要は急速に拡大します。
🔄 需要拡大のメカニズム
- DEX利用者の増加 → 1inchの利用拡大と取引手数料の増加
- クロスチェーン機能の拡張 → 複数チェーン間の流動性が統合され効率が向上
- エコシステムの拡大 → BinanceやMetaMaskとの統合により認知度・利用率向上
📈 現在のフェーズ:成長期から拡張期へ
2025年1月9日の執筆時点で、時価総額約¥32,871,445,651を記録する1inchは、DeFi市場における確固たる地位を確立しています。2025年4月にSolanaへの統合を果たし、クロスチェーン機能の拡張を進めることで、さらなる利用者基盤の拡大を狙っています。13以上のブロックチェーン対応により、マルチチェーン環境でのDeFiハブとしての役割を強化しています。
プロジェクトの強み
①革新的なFusionプロトコル:ガス代ゼロ時代の到来
実装時期:2022年12月〜(継続的に改善中)
1inchの最大の革新がFusionプロトコルです。従来のDEXでは、スワップ時にガス代(ネットワーク手数料)が発生しますが、Fusionでは「ユーザーは」ガス代を支払わずにスワップできます。
ユーザーが「このトークンをこの価格で交換したい」という意向(インテント)を指定すると、プロフェッショナルなマーケットメーカー(リゾルバー)たちが競争して注文を実行します。ダッチオークション方式で競争が起き、ユーザーに最も有利なレートの取引が選ばれます。さらにMEV(最大抽出価値)対策により、フロントランニング等の被害を抑える設計です。
②マルチチェーン対応:DeFiのハブとしての地位確立
拡張開始時期:2021年に複数チェーンへ拡張〜(継続中)
かつて1inchはEthereumを中心としていましたが、現在では13以上のブロックチェーンに対応しています。2025年4月にSolana対応を開始し、同年8月にSolana↔EVMのクロスチェーン対応を開始しました。これにより、複数のブロックチェーン間で直接資産交換ができるようになり、ブリッジの必要性がなくなります。
この拡張により、1inchは単なるEthereumのアグリゲーターから、真のマルチチェーンDeFiインフラへと進化しています。ユーザーはどのチェーンにいても、最良のレートで瞬時にトークン交換できる環境が整いつつあります。
③DeFiインフラプロバイダーへの転換:大手との統合で新段階へ
戦略転換時期:2025年10月1日(リブランディング実施)
2025年10月の大規模リブランディングにより、1inchは新しい段階へシフトしました。これまでのDEXアグリゲーターというポジションから、BinanceやMetaMaskなどの大手企業にAPIを提供するDeFiインフラプロバイダーへと事業拡大しています。
新ドメイン「1inch.com」への移行とビジュアルアイデンティティの刷新により、初心者から機関投資家まで、より幅広いユーザー層へのアクセスを実現しています。このSaaS(Software as a Service)モデルの採用により、1inchの技術は今後さらに多くのプラットフォームに組み込まれることが予想されます。
重要マイルストーン
ロードマップのタイムスパン:2025年〜2026年(2年間の重点施策)※以下は公式発表ベース
📅 2025年
・Solana統合とクロスチェーンスワップ機能の本格展開
・BinanceやMetaMaskとのSaaS統合による認知度向上
・オンチェーンコンプライアンス機能の強化
・1inch Walletの機能拡充
📅 2026年
・さらなるブロックチェーン統合(現在の13+から20+へ)
・ISO 27001・SOC 2など、機関向け基準の認証取得プロセスを継続
・TradFi(金融機関・既存金融)との接続を重視し、統合を進める方針
・非EVMチェーン追加など、クロスチェーン対応の拡張計画を継続
これらのマイルストーンから明確なのは、1inchがDeFiのマスアダプション(大衆採用)を目指しているということです。技術的な革新だけでなく、使いやすさと安全性を同時に追求することで、ブロックチェーン初心者から機関投資家まで、すべてのユーザーがDeFiを活用できるエコシステム構築を目指しています。
最後に:1inchが重要な理由
1inchはDeFi分野における「基盤」としての役割を担っています。Uniswapなどの個別DEXが「専門店」なら、1inchは「複合商業施設」のような存在で、ユーザーが最高の条件で取引できるプラットフォームを提供しています。
特に暗号資産の取引に不慣れな初心者にとって、複数のDEXから最安値を自動選択してくれるこのサービスは非常に価値があります。また、2025年のリブランディングにより、従来のDeFi愛好家だけでなく、伝統金融から流入する新規ユーザーにも親しみやすくなりました。
DeFiのインフラとして着実に成長を遂行する1inchは、ブロックチェーン技術が世界金融を変える過程で、欠かせない基盤的なプロジェクトといえるでしょう。
※ 本記事に記載されたデータおよび分析は、2026 年 1 月 9 日時点の情報に基づいています。
暗号資産市場は高いボラティリティを有しており、投資判断に際しては自らの判断と十分なリスク管理を行ってください。