Lesson2-4 各領域の進捗度合い

各領域の進捗度合い──成熟度を見極める投資のコツ
Lesson2-4_各領域の成熟度

こんにちは!前回は暗号資産の世界を構成する各領域の役割について学びましたね。

今回は、再び暗号資産の世界の「業界地図」に戻り、それぞれの領域が今、どのくらい「成熟しているのか」という視点で見ていきたいと思います。すべての領域が同じスピードで進んでいるわけではありません。中には、まだ生まれたての赤ちゃんのような分野もあれば、少しずつ大人の仲間入りをし始めた分野もあります。

この「成熟度」という物差しを持つことで、それぞれの領域が持つ「リスク」と「可能性(リターン)」のバランスを、より冷静に判断できるようになります。投資を考える上でも、非常に重要な視点ですので、一緒に学んでいきましょう。

📊 成熟度という物差しを持とう

「成熟度」とは、その技術やサービスが、どのくらい社会に普及し、安定して使われているか、という度合いのことです。私たちは、暗号資産の各領域を、大きく3つの段階に分けて考えることができます。

第1段階:実験場(黎明期)

まさに新しいアイデアが生まれたばかりの段階。ごく一部の開発者やマニアが、試行錯誤を繰り返している状態です。成功すれば大きな利益を生む可能性がありますが、ほとんどは失敗に終わる、非常にリスクの高い領域です。過去には2020年夏のDeFiサマー、2021年初春のNFTブーム、同年夏のGameFiバブルなど、黎明期の分野が短期間で過熱し「バブル」と呼ばれた例がありました。直近では2024年末にAI銘柄が期待先行で高騰しています。こうしたバブルは一時的に価格を押し上げますが、熱が冷めて価格が調整される過程で、本当に価値のあるプロジェクトだけが残り、次の「成長期」へと移行していく傾向があります。

第2段階:成長期

技術の有効性が認められ、少しずつ利用者が増え始める段階。様々なプロジェクトが乱立し、競争が激しくなります。まだ不安定な部分も多いですが、将来のスタンダードになるサービスが、この中から生まれてくる可能性があります。

第3段階:成熟期

技術やサービスが広く一般に普及し、私たちの生活の一部として定着した段階。大きな成長は期待しにくいかもしれませんが、その分、安定性は高まります。銀行や証券会社といった、伝統的な金融機関も安心して参入してくるようになります。

価格は「期待」から「実績」へシフトする

暗号資産のトークン価格は、ステージによって評価軸が変わります。黎明期ではプロダクトの実績が乏しいため、資金はアイデアやストーリーに集まり、価格は将来の可能性(期待値)を先取りして決まる傾向があります。成長期に入ると、実際のユーザー数や手数料収入といった“実績”が重視され始め、期待と現実がすり合わされながら価格が形成されます。成熟期になると、キャッシュフローや規制環境の安定性といったファンダメンタルズが評価の中心となり、価格変動は相対的に落ち着くのが一般的です。こうした価格形成の違いを理解しておくと、ニュースやチャートの動きを「期待先行なのか、それとも実績が伴っているのか」という視点で読み解けるようになり、より納得感のある投資判断につながります。

🏗️ レイヤー1ブロックチェーン:まだ骨組み工事中

まず、すべての土台となる「レイヤー1ブロックチェーン」(ビットコインやイーサリアムなど)です。これは、業界の「土地」にあたる部分でしたね。意外に思われるかもしれませんが、この最も基本的な部分でさえ、まだ「成長期の初期」から「中期」の段階にあると言えます。つまり、まだ「骨組み工事中」なのです。

ビットコインは「価値の保存」という点では非常に安定していますが、一度に多くの取引を処理できない、という課題を抱えています。イーサリアムも、利用者が増えすぎて手数料(ガス代)が高騰してしまう問題を解決するために、今も大規模なアップデートを続けています。その他にも、イーサリウムのライバルとなる新しいレイヤー1ブロックチェーンが次々と登場し、「どのチェーンが最も優れた土地になるのか」という競争が、今まさに繰り広げられている最中です。基盤がまだ固まっていない、というのがこの業界の現状なのです。

🏦 RWA・一部DeFi:法律が整い始め、銀行資金が流入開始

次に、アプリケーションの領域を見てみましょう。その中でも、特に成熟度が高まってきているのが、「RWA」と「一部のDeFi」です。

RWA(Real World Asset)」とは、不動産や債券といった、現実世界の資産をブロックチェーン上で扱えるようにする技術のことです。例えば、アメリカの国債をトークン化して、ブロックチェーン上で売買できるようにする、といったサービスが既に始まっています。

また、「DeFi(分散型金融)」の中でも、米ドルなどの法定通貨と同じ価値を持つように設計された「ステーブルコイン」に関連するサービスは、比較的安定しています。特にステーブルコインについては、2025年7月に法案が可決され、他の分野より少し進んでいます。

これらの領域に共通しているのは、法律や規制の整備が進み、伝統的な金融機関が参入し始めている点です。ブラックロックのような世界最大の資産運用会社が、RWAの分野に参入を表明したことは、その象徴的な出来事です。この領域は、「成長期の中期」に差し掛かっていると言えるでしょう。

⚙️ インフラ系:レイヤー2・オラクル・DIDなど、基盤を支える技術

レイヤー1ブロックチェーンの上に構築される「インフラ系」の技術も重要です。これには「レイヤー2」「オラクル」「DID」などが含まれます。

レイヤー2」は、メインのブロックチェーンの処理能力を拡張する技術です。「オラクル」は、ブロックチェーン外の情報をブロックチェーン内に取り込む技術です。「DID(分散型識別子)」は、個人の身元証明をブロックチェーンで管理する技術です。これらのインフラ技術は、まだ「成長期の初期」から「中期」の段階にあり、基盤チェーンの発展とともに重要性が高まっています。

🚀 AI・DePIN・DeSci:新技術の実験場

最新の技術として注目されているのが、「AI」「DePIN」「DeSci」の領域です。「AI」は、人工知能をブロックチェーンと組み合わせた技術です。「DePIN(分散型物理インフラネットワーク)」は、個人が持つハードウェアをネットワーク化して新しいサービスを提供する技術です。「DeSci(分散型科学)」は、科学研究をブロックチェーン技術で分散化する技術です。これらの技術は、まだ「実験場(黎明期)」の段階にあり、将来性は高いものの、実用化にはまだ時間がかかると予想されています。

🎮 GameFi・NFT:実験場から次のヒット待ち

一方で、まだ「実験場(黎明期)」から「成長期の初期」の段階にあるのが、「GameFi」や「NFT」の領域です。「GameFi」は、ゲームをプレイすることでお金を稼げる可能性があるというコンセプトで注目されましたが、まだ「面白いゲーム」が少なく投機的な側面が強いのが現状です。「NFT」は、デジタルアートの所有権を証明する技術として話題になりましたが、こちらもまだ一部のコレクターや投機家が中心の市場です。これらの領域は、エンターテイメントとの親和性が高く、将来的に大化けする可能性を秘めていますが、純粋に「楽しい」「欲しい」と思わせるような、キラーコンテンツの登場が待たれています。

📋 まとめ:リスクとリターンを各層で整理

今回は、暗号資産の各領域の「成熟度」という物差しで、業界地図を色分けしてみました。ご覧の通り、実は成熟期に達している領域は何もない状態なんですね。強いて言うなら、デジタルゴールドとしてのビットコイン(BTC)は成熟期に入っていると言えるでしょう。それ以外の分野は、まだ黎明期から成長期の途中にあるのが現状です。

  • [✓] レイヤー1ブロックチェーン:まだ骨組み工事中。将来のインフラを巡る競争の真っ最中。(中リスク・中リターン
  • [✓] インフラ系(レイヤー2・オラクル・DID):基盤チェーンの発展とともに重要性が高まる。(中リスク・中リターン
  • [✓] RWA・一部DeFi:法律が整い始め、プロが参入開始。見通しが明るい領域。(低〜中リスク・低〜中リターン
  • [✓] AI・DePIN・DeSci:最新技術の実験場。将来性は高いが、実用化には時間がかかる。(高リスク・高リターン
  • [✓] GameFi・NFT:まだ実験段階。一発当たれば大きいが、不確実性も高い。(高リスク・高リターン

このように、同じ暗号資産という世界の中でも、領域によってリスクとリターンの特性が全く異なることを理解しておくのが重要です。投資を考える際には、自分の資産や知識、そしてどれだけのリスクを受け入れられるか(リスク許容度)を考えた上で、これらの異なる特性を持つ領域に、バランス良く資金と時間を配分する(ポートフォリオを組む)という視点が、非常に大切になります。


✅ おさらいチェックリスト(因果関係を考えてみよう)

  • [✓] なぜ成熟度という物差しが投資に重要なのか?→ 各領域のリスクとリターンの特性が異なる → 自分の資産や知識に合わせて選択できる → より冷静で的確な投資判断が可能
  • [✓] なぜレイヤー1ブロックチェーンはまだ骨組み工事中なのか?→ ビットコインは取引処理能力に課題 → イーサリアムは手数料高騰問題を解決中 → 新しいレイヤー1ブロックチェーンが次々と登場 → 基盤がまだ固まっていない
  • [✓] なぜインフラ系(レイヤー2・オラクル・DID)が重要なのか?→ レイヤー1の処理能力を拡張する必要がある → 手数料を安くする技術が求められている → 現実世界のデータを取り込む仕組みが必要 → 身元証明の基盤も重要 → 基盤チェーンの発展とともに重要性が高まる
  • [✓] なぜRWA・一部DeFiは比較的安定しているのか?→ 法律や規制の整備が進んでいる → 伝統的な金融機関が参入し始めている → ステーブルコインは2025年7月に法案可決 → 成長期の中期に差し掛かっている
  • [✓] なぜAI・DePIN・DeSciは高リスク・高リターンなのか?→ まだ実験場(黎明期)の段階 → 将来性は高いが実用化には時間がかかる → 技術革新の最前線 → 一発当たれば大きいが不確実性も高い
  • [✓] なぜGameFi・NFTは高リスク・高リターンなのか?→ まだ実験場(黎明期)から成長期の初期 → 投機的な側面が強い → キラーコンテンツ(決定的なヒット作)が少ない → 一発当たれば大きいが不確実性も高い
  • [✓] なぜポートフォリオを組むことが重要なのか?→ 各領域の特性が全く異なる → 自分の資産・知識・リスク許容度に合わせて選択 → バランス良く資金と時間を配分 → リスクを分散しつつ可能性を追求

🎯 次回予告:いよいよ実践!スマホと本人確認書類を準備しよう

各領域の成熟度を理解できましたが、「でも、実際に暗号資産を買うには何から始めればいいの?」という疑問が湧いてきませんか?

実は、暗号資産の世界を旅するには、まず「国内取引所」の口座を開設する必要があります。「なんだか手続きが面倒くさそう…」と感じるかもしれませんが、実は、口座開設のプロセスで最も重要なのは、事前の準備なのです。

必要なものをあらかじめ手元に揃えておけば、実際の作業は驚くほどスムーズに進みます。スマートフォン、本人確認書類、メールアドレス。どれも、すでにお持ちのものばかりですよね。

次回は、本格的な申し込み作業に入る前に、絶対に必要になるものと、確認しておくべきポイントを、チェックリスト形式で分かりやすく解説します。「準備が8割、作業が2割」の気持ちで、リラックスして進めていきましょう。


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