Lesson2-1 業界”全体地図”を把握しよう

暗号資産マップ総覧:業界”全体地図”を把握しよう
Lesson2-1_暗号資産マップ総覧

こんにちは!これまでの記事で、ブロックチェーン技術やビットコインの誕生、そしてその価値について学んできましたね。

今回は、少し視点を引いて、暗号資産(仮想通貨)の世界全体の「業界地図」を眺めてみたいと思います。ニュースで「DeFi」や「NFT」といった言葉を耳にしても、それが一体何で、ビットコインとどう違うのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。

この全体像を一枚の地図のように理解しておくと、これからのニュースの見え方がガラリと変わります。お金が動く場面をヒントに、この新しい経済圏を探検していきましょう。

💸 お金が動く5つの場面――支払う・送る・増やす・借りる・遊ぶ

私たちの普段の生活で「お金」が登場する場面を思い浮かべてみてください。「お店で商品を買う」「友人に送金する」「銀行に預けて増やす」「ローンを組んで借りる」「趣味や娯楽に使う」…大体このあたりに分類できるのではないでしょうか。

実は、暗号資産の世界もこれと全く同じです。複雑に見える様々なプロジェクトも、この5つの場面のどれかに当てはめて考えると、非常に分かりやすくなります。

まずは、「ああ、暗号資産の世界でも、現実世界と同じような経済活動が行われているんだな」というイメージを持つことが、全体像を理解する第一歩です。

🛒💸

支払う・送る

モノやサービスの対価として支払ったり、友人や家族へ送金したりする場面です。

領域:決済通貨、ステーブルコイン
📈🏦

増やす・借りる

暗号資産を預けて利息を得たり、別の資産を借りたりする場面です。

領域:分散型金融(DeFi), RWA
🎮🖼️

遊ぶ・集める

ゲームをプレイして稼いだり、デジタルアートを所有したりする場面です。

領域:GameFi, NFT

📚 基盤チェーン/インフラ/アプリの位置関係

次に、この業界地図を、もう少し解像度を上げて見てみましょう。暗号資産の世界は、大きく分けて3つの層で成り立っていると考えることができます。これは、私たちの社会が「土地」「道路や電気」「お店や家」で成り立っているのと似ています。

エコシステムの階層構造

第3層: アプリ (お店や家)
第2層: インフラ (道路・電気)
第1層: 基盤チェーン (土地)

第3層:アプリケーション(アプリ) (お店や家)

インフラの上で、私たちが実際に利用するのが「お店や家」にあたるアプリケーションです。「DeFi」や「NFTマーケットプレイス」、「GameFi」などがこれに該当します。

第2層:インフラ (道路・電気・水道)

土地の上に整備される「道路、水道、電気」のようなものです。異なるブロックチェーン同士を繋ぐ技術や、開発者がアプリを作りやすくするツールなどが含まれます。

第1層:基盤チェーン(レイヤー1) (土地)

すべての土台となる「土地」です。ビットコインやイーサリアムといったブロックチェーンそのものを指します。どんなアプリもこの土地の上でなければ活動できません。

💸 手数料はどこで発生?――川の流れで理解

では、この世界では、どこで「手数料」が発生しているのでしょうか。これを、川の流れに例えてみましょう。

川の源流が「基盤チェーン」です。私たちがアプリケーションを利用するとき、その場所まで水を運んできてくれたお礼として、手数料(ガス代)を支払う必要があります。この手数料は主に基盤チェーンを維持する人たちに支払われます。

つまり、アプリケーションが人気になって利用者が増えれば増えるほど、土台である基盤チェーンに支払われる手数料も増えていく、という構造になっています。このお金の流れを理解することが、業界のどこに価値が集まりやすいのかを見極める上で非常に重要になります。

🎯 “資金が集まりやすい場所”の見つけ方

「大ヒットゲーム登場!」というニュース。私たちはついアプリケーションそのものに注目しがちです。しかし、真の価値を見抜くには、そのアプリケーションがどの「土地」、つまりどの基盤インフラ上で動いているかを知ることが不可欠です。

人気の建物(アプリ)が建てば、その土地(インフラ)の価値は自ずと上昇します。

📋 まとめ:ニュースを読むときの地図の使い方

今回は、暗号資産の世界の全体像を「業界地図」として眺めてみました。

  • お金の動きは5場面:支払う、送る、増やす、借りる、遊ぶ。
  • 業界は3つの層:土地(基盤チェーン)、インフラ、お店(アプリ)。
  • 手数料は土地代:アプリが使われるほど、土台のチェーンが儲かる。

この地図を頭に入れておくだけで、複雑に見える暗号資産のニュースも、どの部分の話をしているのかが整理しやすくなります。「今は、新しいお店(アプリ)がたくさん建っている時期なんだな」とか、「この土地(基盤チェーン)は、最近人気が出てきて地価が上がっているな」といったように、自分なりに解釈できるようになるはずです。

おさらいチェックリスト(因果関係を考えてみよう)

  • [✓] なぜ人気のアプリが登場すると、その土台となる基盤チェーンの価値も上がるのか?
    → アプリの利用が増える → ガス代(手数料)の支払いが増える → 基盤チェーンの収益が増加 → 基盤チェーンの価値向上
  • [✓] なぜ基盤チェーンの性能が業界全体の発展を左右するのか?
    → 土地(基盤チェーン)の広さ・ルールが決まる → その上に建てられるインフラ・アプリの種類が制限される → エコシステム全体の可能性が決まる
  • [✓] なぜインフラ層が重要で、どのような連鎖反応を起こすのか?
    → インフラが整備される → 開発者がアプリを作りやすくなる → より多様で高機能なアプリが誕生 → ユーザー体験の向上とエコシステムの拡大
  • [✓] なぜ「お金の流れ」を理解すると投資判断に役立つのか?
    → 価値の源流を把握 → どこに手数料が集まるかがわかる → 長期的に価値が蓄積されやすい場所を特定 → より的確な投資判断が可能
  • [✓] なぜこの3層構造を理解するとニュースの見方が変わるのか?
    → 個別のニュースを業界地図上で位置づけ → そのニュースが他の層に与える影響を予測 → 表面的な情報に惑わされず、構造的な変化を読み取れる

🎯 次回予告:あなたの”デジタル財布”を作ろう

暗号資産の世界の全体地図は理解できましたが、「でも、実際に暗号資産を使うには何が必要なの?」という疑問が湧いてきませんか?

実は、暗号資産の世界を旅するには、絶対に必要な道具があります。それが「ウォレット」です。日本語に訳せば「お財布」ですが、私たちが普段使っている革財布とは、少し役割が違います。

ウォレットは、ブロックチェーン上のあなた専用口座にアクセスするための「」のようなもの。銀行の通帳と暗証番号の関係に似ていますが、その仕組みは全く新しい概念なのです。

次回は、このデジタルなお財布の基本的な考え方を、難しい話は抜きにして理解していきましょう。実際にウォレットを作るのはもう少し先ですが、この概念を知っておくだけで、今後の理解がぐっとスムーズになります。

※注意点※
当ページ中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。