Ethereum(イーサリアム)の歴史

目次

基本情報

今までの歴史

直近アップデート予定

その他のアップデート

リサーチ担当のコメント

プロジェクト名Ethereum(イーサリアム)
創立者ヴィタリック・ブテリン氏
トークン(通貨)ETH(イーサ)
トークンの使い道ガス代(手数料)・ステーキング報酬
時価総額32兆円以上(2023/08/09)
時価総額ランキング2位
取扱がある主な国内取引所※1BINANCE JAPAN / bitFlyer / Coincheck / bitbank / Zaif など
取扱がある主な国外取引所※1Bybit / MEXC / Gate.io / KuCoin など

特徴

イーサリアムは、仮想通貨(暗号資産)の中でもビットコインに次ぐ、時価総額2位を誇るブロックチェーンです。

主なポイントは、ブロックチェーン上に、スマートコントラクト(スマコン)と呼ばれる自動契約プログラムを導入したところにあります。

スマコン自体の概念は以前から存在していました。新たなアプローチとして、ブロックチェーンの改ざんができない情報管理が可能という特性を持った状態でスマコンを実装した点にあります。

しかし、仮想通貨市場の拡大に伴い、多くの人が利用するようになった結果、取引手数料(ガス代)の高騰が課題となり、2023年現在もこの課題は根本的には解決されておりません。

この課題を解決するためには、2023年現在主に二つのアプローチ&シナリオが存在します。

一つ目は「イーサリアムキラー」と呼ばれるイーサリアムとは関係がない新しいブロックチェーンプロジェクトがこの課題を解決するというシナリオです。これはイーサリアムのような役割を果たしながら、さらに性能が高いものを目指す競合他社が現れたということです。後にイーサリアムを含めこのジャンルのプロジェクトのことを「レイヤー1」と呼ばれるようになりました。

二つ目は、イーサリアム自体を改良する追加機能を開発する方法です。この追加機能は「レイヤー2」と呼ばれ、イーサリアムの性能を向上させることを目的としています。

また、イーサリアムの初期開発に関わっていた者の中には、Cardano(ADA)のチャールズ氏やPoladot(DOT)ギャビンウッド氏が在籍しており、後に彼らは、イーサリアムと類似する別のプロジェクトを立上げ、現在、イーサリアムに続くレイヤー1プロジェクトとして時価総額ランキング上位に名を連ねています。

※1 現在、日本国内で利用可能な取引所を掲載しております。

※2 執筆当時の情報です。リアルタイムの情報はこちらからご確認ください。

1ETHあたりの最高価格は、、、

※2021年11月に最高値、1ETHあたり54万円の価格を記録しました。
(2023年9月現在:およそ24万円)

1ETHあたりの最大の値下がり率は、、、

(1ETHあたり2021年11月に54万円を記録→2022年7月に14万円を記録 約8カ月間)


このように、価格変動も多いブロックチェーン分野の投資において、あなたがいつETHを買って、いつ売るかということは非常に重要になってきます。


ここからは、この大きな価格変動の要因について、イーサリアムの歴史を基に解説していきます。

価格変動の要因に関する重要なキーワードは、開発アップデート、ネガティブな事件、業界全体のバブル期となります。その点に注目して下記をご覧になってください。

※ピンクはアップデートやリリース名(開発時につけられた開発名)

※黄色は事件やイベント名

※上記の『Frontier』や『Homestead』などの英語表記は、各アップデートやイベントの名称です。

スマホのアプリはアップデートされるとバージョンが変わりますが、仮想通貨(暗号資産)の業界ではそのアップデートやリリースの際に名前を付けることが多いです。


1人の少年から始まるイーサリアム

ヴィタリック・ブリテン氏

1994年にロシア・モスクワに生まれた彼は、小学校6年生の時に家族とカナダへ移住します。父はコンピューター関係の仕事についていて、その影響もありオンラインゲームに熱中していました。

あるとき、オンラインゲームのキャラクターの能力を勝手に運営によって変更されました。その時に彼は、運営者によって勝手に変更され、それに従うしかないこの仕組みに嫌になり、ゲームすらやめてしまいました。

その後、ビットコインの存在を知り、運営者に支配されない仕組み、分散型と言われるものに興味をもち、イーサリアムの構想・構築を始めました。

初めて取引されたETHのICOについて

2024年7月に、ETHのICOが実施され、初めてETHが一般の投資家の手に渡りました。当時のレートでは、1ETH=25円ほどの金額となります。(ICOは、1BTCが約5万円の時代に1BTC=2000ETHというレートで行われました。)

サービス開始!

Frontier(2015年7月30日)

当時ETH価格:347 円

イーサリアムを始めとしてブロックチェーンプロジェクトは、サービスを開始しつつも、多くのアップデートを予定し、初期フェーズでは、大衆に利用される状態ではない形でスタートします。

イーサリアムにおいてその初期フェーズがフロンティアとなり、この段階では、特に開発者向けで、スマコンの作成やイーサリアムを使ったシステム開発が可能になりました。同時に、イーサリアム上での取引もスタートされました。またこのフェーズでは、NFTの作成はできませんでした。

一般に公開され、誰でも利用可能になりましたが、当時はほんの一握りの人々しかその可能性に気づいておらず、仮想通貨(暗号資産)の知名度も低いことから、イーサリアムの将来を予測することは難しかった時代です。

Homestead(2016年3月14日)

▲1,651 円 (増減:+475.4%)※1

※1 価格の増減は、手前の開発アップデートもしくは事件当時の価格との比較です。

Homestead【ホームステッド】

イーサリアムの開発において最初の主要なアップデートです。このアップデートではネットワークの安定性とセキュリティが大幅に改善されました。

また、ガス代(手数料)の30%削減を達成し、大きな進化を遂げました。それに加え、決済スピードも約17秒から約14秒(17.65%削減)まで速度を上げてきました。

この当時のビットコインは送金に約10分かかると言われていたため、ビットコインとは比べ物にならないほどの決済スピードを誇っていました。

The DAO事件(2016年6月17日)

▲2,161 円 (増減:+30.9%)※1

The DAO事件【ザ・ダオ事件】

ドイツのスタートアップ企業Slock.it(スロック イット)が投資サービス、The DAOの運営をしていました。The DAO分散型自立組織(DAO)の仕組みを使用したサービスです。しかし、悪意のあるハッカーから、当時のエンジニアが作成したコードの穴をついたハッキングを受け、業界は大混乱。約360万ETH(事件当時の価格で約52憶円)が盗まれる事件(The DAO事件)が発生しました。この事件によりイーサリアムを使用したスマコン開発(システム開発)のセキュリティ問題を浮き彫りにしました。

ポイント!

運営団体が開発していたスマコン(システム)のコードの記載に不備があり、スマコン(システム)は正常に動作していたものの、重大な欠陥が隠れていました。その、コードの欠陥を逆手に取られてETHが盗み出されてしまいました。

当時は、この課題が、ブロックチェーンそのものの欠陥か、ブロックチェーンそのものには問題がないが、エンジニアが開発したシステムのコードに不備があったなどを判断するリテラシーがないため、投資家が不安を感じ、直接ETHのトークン価格が下落したという見方もできます。

たとえると、誰にもハッキングされないネット回線(イーサリアム)、強固なセキュリティ(スマコン)を使った金庫です。暗証番号も複雑で、世界最強の素材を使っています。しかし、そのセキュリティの設定には間違いがありました。「決定キー」を2回連打すると番号に関係なく、誰でも開けたのです。

実際はもっと複雑ではありますが、システムの抜け道を通って苦労せずに、ハッカーは大金を手にしました。

Ethereum Hard Fork(2016年7月20日)

▼1,229 円 (増減:-43.1%)※1

Ethereum Hard Fork【イーサリアム ハード フォーク】

The DAO事件後すぐに、流失した資金の対応策が、イーサリアムコミュニティ内で話し合われました。ポイントとなったのが出金機能の「スピリット」です。

「スピリット」とは出金後、28日間は資金を移動できないルールのことで、その期間内に対応策が検討され、結果として盗まれた資金をハードフォークにより返還しました。

しかし、このハードフォークの決定には大きな争いがありました。ハードフォークにより、事件の被害は最小限になりますが、下記の疑問が残ります。


「過半数の同意によって、処理の履歴を自由に変えていいのか?」

一定層の意見として、大きな事件と言えども我々が盗まれたETHを人為的に返還するのは問題だと主張があり、これではイーサリアムの一番の売りである「誰にも支配されない」を逸脱しているのではないかと意見が上がります。

最終的には多数決により、ハードフォークを実施し、多数派はEthereum(ETH)に、少数派(逸脱していると主張した方)Ethereum Classic(ETC)にコミュニティが分割されました。ETHとETCのトークン価格は、連動することなく別のプロジェクトとして存在することになります。

Metropolis(2017年10月16日)

▲37,479 円 (増減:+2943.5%)※1

Metropolis【メトロポリス】

このアップデートでは、プライバシーとセキュリティの強化、スマートコントラクトの柔軟性向上、さらなるスケーラビリティ(拡張性)の強化が行われました。

The DAO事件を繰り返さないために、秘密キーは全て自分で設定・保持を可能にしました。また、ガス代の削減が行われました。The DAO事件で離れたユーザーも多いため、懸命な努力が続きました。

NFTブーム①※1(2017年11月28日)

▲53,479 円 (増減:+42.9%)※2

イーサリアムに新しい規格『ERC721』が導入されました。これはイーサリアムでNFTの発行を可能にするためのトークン発行を行うための新規格です。

この当時は誰もNFTの実用化が今ほど進むとは思っていなかったでしょう。そして、このアップデートにより最古のNFTゲームが登場しました。

NFTゲームの先駆けの登場!最古のNFTゲームとも言われるCryptokitties(クリプトキティーズ)が注目を集めた時代です。かわいらしいモンスターが特徴的なNFTゲームです!

DappsNFTがない時代に登場したゲームであったため、新しい技術に期待して多くのプレーヤーを集めました。

ゲーム内NFTは最高値600ETH(当時約1900万円)と、業界に衝撃を与えました。

しかし、このCryptokittiesの影響で、ETHのガス代(手数料)がおよそ7-8千円まで高騰しました。そのため、高額なガス代が問題視され、本格的にスケーラビリティへの取り組みを加速させるきっかけとなりました。

Istanbul(2019年12月8日)

▼16,092 円 (増減:-69.9%)※1

Istanbul【イスタンブール】

イーサリアムのスケーラビリティ(拡張性)と不正や改ざんに耐えるため、セキュリティをさらに強化するためのアップデートが行われました。

スマコンの動きを効率化させるためにガス代の調整を行うなどして、イーサリアムネットワークは更に大きなトランザクション(取引)の処理を可能にしました。

ユーザーの増加が続くイーサリアムは常に処理能力の向上が必要です。開発者は少しでもガス代の削減や処理速度を上げるために長期的な開発計画のもと、日々努力を続けてアップデートを行っています。

大きな進化を目指す大型アップデート計画『Ethereum 2.0』

『Ethereum 2.0』の概要
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)とシャーディング、大規模なブロックチェーンのアップグレード

イーサリアム史上最も大規模なアップグレードが計画され、イーサリアムは、既存の課題を克服し実用化に向け進み始めました。PoSへの移行については、下記課題を解決する目的がありますが、直ぐには実行できないという懸念もあります。

Proof of Work(PoW)の課題

PoWは大きな電力を消費し、環境に良くない方式とされています。また、大きな処理能力を必要とする方式であるため、処理能力が落ちてしまい、ガス代がどうしても高騰してしまいます。そのため、少しでもこの問題を解決をするため、PoSへの移行が計画されました。ただし、この計画により、イーサリアムのマイニング事業者は、職を失うことになりかねないため、計画の実行には時間がかかると懸念されていました。

Ethereum 2.0 Phase 0(2020年12月1日)

▲62,504 円 (増減:+288.6%)※1

Ethereum 2.0 Phase 0【イーサリアム 2.0 フェーズ 0】

イーサリアムの大規模アップデートであるEthereum 2.0の最初の段階です。この段階では新たなコンセンサスアルゴリズム(データの処理方式)であるProof-of-Stake(PoS)の導入前に、必要な機能が実装されました。

NFTブーム再来②(2021年10月11日)

▲534,357 円 (増減:+854.9%)※1

BAYCY(ベイシー)などをはじめとするNFTが仮想通貨(暗号資産)市場で急激に注目を集めました。業界全体のバブルとこの時期が重なりその結果、イーサリアムが過去最高値の54万円台を記録しました。また、同年3月にはTwitter創業者のジャック・ドーシー氏の出品した同氏の初ツイートが約3億円で落札し、話題となりました。NFTバブル再熱は、第一ブームとは比べ物にならない衝撃を業界に与えました。

BAYCY(ベイシー)の詳細はこちら

NFTバブルもそこまで長続きせず、一年後には半分以下の価格まで下がってしまいました。歩いて稼ぐ(Move to Earn)で一躍有名になったNFTゲーム、STEPN(ステップン)の登場も同時期ごろでしたが翌年2022年5月にはNFTもトークンも暴落してしまいました。このバブル崩壊は、イーサリアムだけではなくBTCを含めた業界全体の市場が暴落したものとなります。

The Merge(2022年9月15日)

▼228,610 円 (増減:-57.21%)※1

The Merge【ザ マージ】

承認方式がPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)への変更が行われました。このアップグレードではステーキングが可能となり、その報酬に注目が集まりました。しかし、アップグレード後、間もなくSECからPoSに関する見解が発表されたことや、業界全体の市場が伸び悩んでいたこと、イーサリアムのステーキング報酬の仕組みが投資家ファーストではなかったことなどが重なり、バブルほどのトークン価格の回復は叶いませんでした。

※この段階ではステーキング報酬はロックされ出金はできませんでした。

この時に『Ethereum 2.0』の名称は廃止されました。主な理由として、ユーザーが混乱する可能性や詐欺の発生を抑えるためと説明されています。

FTX破綻(2022年11月11日)

▼160,832 円 (増減:-29.65%)※1

FTX破綻【エフ ティー エックス 破綻】

この事件は、業界全体の相場に影響し、イーサリアムにおいても、価格変動のきっかけになりました。

2022年11月11日、世界第2位の暗号資産取引所であるFTXが破産しました。この事件の発端は世界最大手の取引所であるバイナンスのCEOのX(旧Twitter)の投稿でした。「自社(バイナンス)で持っているFTXのトークン(当時約780億円)を全て売却する。」

このニュースに市場は大混乱、そこに拍車をかけるようにFTXは顧客の出金を停止し、バイナンスに買収交渉を始めました。しかし、事の発端であるバイナンスCEOも交渉から数日で撤退しました。その結果、騒動が始まったわずか8日後にはFTXは破綻申請に追い込まれました。

これにより、仮想通貨(暗号資産)市場は大打撃を受けました。イーサリアムもそれにつられ下落、約一週間の間で-33%の下落率を記録しました。


取引手数料の低価格化

2023年後半予定

『プロトダンクシャーディング(EIP-4844)』

ハードフォークの可能性あり

現在、イーサリアムのネットワークは需要に対して処理が追いついていません。その結果、手数料の高騰や処理速度の低下など、多くの問題が発生しています。これらの問題を解決するために、レイヤー2と呼ばれるイーサリアムを進化させる技術の開発が進んでいます。

特に処理技術の一つである、「ZKロールアップ」が注目を集めています。今回はそのZKロールアップとイーサリアムの接続を上手く行うためのアップデートです。今回のアップデートはレイヤー2との連携強化を目的とし、今後はレイヤー2と一緒にイーサリアムは進化します。

このアップデートによりレイヤー2の手数料は約1/40〜1/100に削減される予定です。また、今後この技術の開発によりイーサリアムネットワークで、現在の約100〜1000倍の処理を目指します。これにより、手数料が$0.001未満(0.15円)となり、より低コストな取引が実現されます。

※日本円表記は執筆当時(2023/09/07)のレートです。


シャーディングに関して、、、

今のイーサリアムを例えると渋滞がひどい高速道路の料金所です!そのため、料金を高くするなどして渋滞緩和を目指していますが改善されません。そこで注目を集めた技術がZKロールアップです。これは他の道路を作ってそこに料金所を作り、本線の料金所の負担を減らそうとする試みです。そして、新しく作った料金所ではデータをまとめて本線の料金所に提出します。

まとまった情報だけを本線の料金所が確認するため、セキュリティレベルは本線の料金所と変わりません。情報を一台ずつ精査するよりもリストを確認したほうが本線の負担は減ります。これがZKロールアップの仕組みです。ZKロールアップとの連携強化により、イーサリアムネットワークの負担が減ります。その結果、イーサリアムネットワークの混雑が緩和され、処理能力向上に期待が高まります。

以下のアップデートは今後予定されているものです。

EIP-1153 

一時的なデータの保存に使用され、トランザクションごとにリセットされる新たな機能の導入により、ストレージコストを削減し、ネットワーク全体の効率性を向上させます。

EIP-4788 

イーサリアムの実行レイヤーに「ビーコンチェーンブロックルート」という新たなデータを追加。これにより、ステーキング残高など、ビーコンチェーンブロックの状態に含まれる値の証明が可能になります。

EIP-6780 

SELFDESTRUCTオペコード(スマートコントラクトを終了させる機能)の排除により、セキュリティと効率性を向上させます。

EIP-5656 

 イーサリアム仮想マシンに関連するマイナーなコード変更の導入。

◆ETHは長期的に価格の上昇がなされてきた歴史があります。

2014年よりおよそ10年にわたり、ETHの価格は乱高下を繰り返しながら成長してきました。ETHはビットコインに次ぐ時価総額を持ち、年々需要も高まっています。過去の価格変動には、アップデートや業界全体に影響を及ぼすイベントが、大きな影響を与えてきました。今後も、業界の成長と共に、イーサリアムのインフラが整っていくようであれば長期的に考えれば価格の上昇が期待できます。

◆ETHの価格はビットコインに連動する

2024年は、ビットコインにとって重要な半減期の年です。ビットコインの半減期の後、次の年は通常バブルが起こりやすいと言われています。過去の事例から見ても、ビットコインの価格上昇が他の通貨にも影響を及ぼしてきました。その影響を受ける一つにETHも含まれており、ビットコインの価格が上がれば、ETHも一緒に上昇する可能性が高いです。

しかし、価格はネガティブなニュースにすぐに影響されるのが現実です。このタイミングで私たちの予期しないマイナスニュースが一報入るだけで価格は大きく動く可能性もあります。

◆現状の問題を解決しなければ競合に市場をとられる可能性

最終的には取引スピードやガス代(手数料)などの問題解決ができるかが重要です。現在は、多くのDappsがイーサリアムを使用しています。しかし、さらなる技術革新によってイーサリアムのブロックチェーンよりも処理能力が高く、手数料が安ければチェーンを乗り換えが起こります。その結果、需要が低下し、価格にも影響することが考えられます。

イーサリアムの開発は日々続いていますが、新しいプロジェクトも日々誕生しています。イーサリアムの問題解決が先か、競合の技術革新が先か、注目ポイントになりそうです。

◆SECの有価証券問題

SEC(米証券取引委員会)は暗号資産を有価証券だと主張を強めています。リップルはSECとの裁判に勝訴し、『リップルは有価証券ではない』と判例を作りました。しかし、SECはステーキングができるイーサリアムは有価証券であると主張し、取引所を訴える動きも見せています。

スマートコントラクト

例えば、自動販売機でお金を入れてボタンを押すと、飲み物が出てきます。これは金額の確認とボタン操作によって購入可能なプログラムが自動販売機内に組み込まれているからです。そのため、お会計のレジがなくてもお金と商品のやり取りを可能にしています。

この仕組みをイーサリアムのブロックチェーン上で導入可能にしました。その結果、ブロックチェーンの特徴である不正改ざんができない情報のやり取りが可能なスマコン(システム)を作成できます。

DAO(分散型自立組織)

今までは組織のトップが最終判断を下すのに対して、DAOはブロックチェーンやスマコンの力を借りて、公平にみんなで決めようという組織です。誰もがアイディアを出す権利を持ち、それについて意見することができます。その意見をスマコンが最終的に集計し、最終判断を行います。

この最終判断には色々な方法があります。少し例をあげます。 

多数決: 参加者が提案や投票に対して多数決を行い、最も多くの投票を得た選択肢が採用される方式。

重み付け投票: 参加者のトークン保有量に応じた重みを持つ投票。保有するトークンが多いほど、意思決定においてより大きな影響力を持つ。

ランダム選出: 参加者の中からランダムに一定数の人を選出し、意思決定を行う方式。ランダム性を取り入れることで、より公正な意思決定が期待される。

どの方式をとるのかもDAOにより異なり、DAO独自に方向性を決めています。

The DAO

ハードフォーク

ハードフォークはブロックチェーンのバージョンアップではなく、ルール変更(仕様変更)です。ルール変更を行うと、基本的には対立が起こります。もともとのルールが好きな人もいれば新しいルールで使用したい人も出てきます。

The DAO事件後のハードフォークでは過去のハッキングを消し、ハッキング前の状態に戻すルール適用しました。

そのため、The DAO事件後のハードフォークでは新・旧チェーンを支持するグループの対立が生まれました。互いに譲らなかったため、新チェーンと旧チェーンの二つのブロックチェーンに分裂しました。

その結果、ETHを持っている人には新しい通貨ETCが配布されました。この通貨は両方使用可能で、別々の通貨として存在します。しかし、新・旧の間ではそもそもルールが違うため、互換性がありません。

スケーラビリティ(拡張性)

ブロックチェーンのことを調べると、この言葉をよく目にします。一言でいうと「処理の能力」を指します。ブロックチェーンも利用者が増えれば増えるほど大きな処理能力を必要とします。しかし、処理能力不足で処理が追い付かず、性能が落ちてしまいます。そのため、処理速度が落ちたり、手数料(ガス代)が高騰してしまうのです。

インターネットの世界では「サーバーダウン」や「サーバーがパンクした」という言葉を聞きます。これがブロックチェーンの世界でも起きていて、イーサリアムでは大きな問題になっています。

現在も開発を続けており、処理能力の向上を行っていますが、全く追い付いていない状況です。

PoW(Proof of Work)

プルーフ・オブ・ワーク

プルーフ・オブ・ワークは、仮想通貨(暗号資産)やデジタルネットワークで使用される一種のセキュリティシステムです。新しい取引や情報を承認するために、コンピュータが数学的な問題を解く作業を行います。この問題を解くためには一定の計算能力が必要で、多くの処理が行われます。最初に問題を解いたコンピュータが報酬を得る仕組みです。これは不正な取引を防いだりネットワークを安全に保つために行われます。

簡単解説

プルーフ・オブ・ワークは、仮想通貨(暗号資産)やネットワークのセキュリティを守る仕組みです。これを理解するために、例え話を考えてみましょう。

想像してみてください、みんなが一緒に宝探しをしているゲームがあるとしましょう。新しい宝を見つけるためには、難しいパズルを解かなければなりません。このパズルは計算問題に近く、コンピュータが解いてくれます。

コンピュータは問題を解くためにたくさんの計算をするけれど、一番最初に解いたコンピュータのみが宝の報酬を獲得できます。これによって、正直で一生懸命なコンピュータが報酬を受け取ります。

このゲームのおかげで、悪い人たちが偽の宝を作ることを防ぎます。それは、偽の宝を作ろうとしても正しいパズルを解かなければ、作成できないからです。

つまり、プルーフ・オブ・ワークは、不正を行うコンピュータを排除し、ネットワークを守る方法です!

PoS(Proof of Stake)

プルーフ・オブ・ステーク

プルーフ・オブ・ステークは、仮想通貨(暗号資産)やデジタルネットワークで使用される一種のセキュリティシステムです。この方法では、新しい取引を承認する人たちが、自分たちが本当に信頼できると示す必要があります。具体的には、その人たちがある金額の仮想通貨(暗号資産)を担保として、取引を承認する権利を獲得できます。つまり、大切なお金を使っているからこそ、不正ができない仕組みです。その結果、ネットワークの安全性が守られ、公正公平な取引が実現しています。

簡単解説

プルーフ・オブ・ステークは銀行のローンの仕組みと似ています。

銀行のローンは、借り手が貸し手(銀行)に対して返済能力を示すために一定の担保を提供する必要があります。この担保は、貸し手に借り手の信頼性を示すためです。借り手がローンを返済しない場合に担保を銀行が差し押さえることが可能です。

同様に、プルーフ・オブ・ステークでは、ネットワークの参加者は一定の仮想通貨を担保として提供します。この仮想通貨は、ネットワークの適切な運用に参加することを示すためです。不正な行為を行った場合は、担保が没収される可能性があります。この仕組みを利用し、参加者は自分の信頼性を示し、ネットワークの安全性を維持します。

要するに、銀行のローンと同様に、PoSでは参加者が信頼性を示すために担保を提供します。その信頼性の確保により、ネットワークのセキュリティが保たれます。この信頼性を示す仕組みが、取引の公正さとセキュリティを確保する役割を果たしています。

Dapps(分散型アプリケーション)

Dapps(分散型アプリケーション)は、ブロックチェーンの技術を使用している特殊なアプリケーションです。普通のスマホアプリと違い、Dappsはブロックチェーンを連携させて動く仕組みになっています。これによって、アプリが不正、改ざんが不可能なアプリになります。

簡単解説

あなたがオンラインで何かを買うために一般的なeコマースサイト(例:Amazon)にアクセスする場面です。商品を選び、カートに入れ、クレジットカードで支払いを行います。このプロセスは通常、Amazonのサーバーを通じて処理され、サイトの管理者が取引を管理します。

しかし、Dappsでは状況は異なります。Dappsはブロックチェーン上で機能し、中央のサーバーが必要ありません。代わりに、複数のコンピューターがネットワークに接続し、取引を確認します。これを「分散化」と呼びます。具体的な例を考えましょう。

Dappsのオンラインマーケットプレイス

Dappsを使用するオンラインマーケットプレイスでは、あなたは商品を選び、仮想通貨で支払いを行います。この際、取引はブロックチェーン上で完了され、ユーザー自身とネットワークの参加者によって承認されます。

そのため、中央のサーバーや企業の介入は必要ありません。この仕組みにより、商品や手数料の低価格化や不正がない安心安全な取引を可能にします。

NFT

NFT(Non-Fungible Token)は、デジタルアセットやコンテンツに付属する独自のデジタルトークンです。

従来、デジタルなアートやコンテンツは、容易にコピーやスクリーンショットを撮られ、コピーが無制限に広がっていました。これにより、アーティストや制作者は自分の作品の唯一性や価値を守るのが難しい状況でした。デジタルコンテンツが簡単に複製されるため、写真や絵のデジタル化が難しい状況でした。

ここでNFTが重要な役割を果たします。NFTは、デジタルアートやコレクションをブロックチェーン上で一意のトークンとして表現します。デジタルアートの価値を確認する証明書の代わりになり、改ざんが困難です。NFTによって、デジタルアートの唯一性が確立され、オリジナル作品の価値が保護されます。

NFTの例:デジタルチケットの販売

アーティストはデジタルチケットを作成し、NFTとして発行します。このNFTチケットには、所有者情報がブロックチェーン上で厳密に記録されます。あなたがこのNFTを購入すると、チケットの正規の所有者として登録されます。この所有権は、改ざんの余地がないため、チケット所有者の証明を可能とします。

もしスクリーンショット(スクショ)を取っても、それはNFTではなく、あくまで画像のコピーです。スクリーンショットにはNFTの本物の所有権は含まれておらず、チケットの唯一性を示せません。そのため、転売防止策としてNFTを活用できます。

要するに、NFTはデジタルアートやコレクションのための信頼性のある価値証明書です。これにより、デジタルアートの唯一性と本物の所有権が確立されます。アーティストや制作者は自分の作品を保護し、市場で販売が可能です。この技術は、デジタルアートやコンテンツの新しい未来を切り開いています。

簡単解説

NFTは、デジタルなアートやゲームアイテムなどに「特別な証明書」をつけることができる仕組みです。例えば、ゲーム内で手に入れた特別なアイテムが、本当にあなたのものであることを示す証拠を作れます。また、NFTは特別な市場で取引できるので、他の人とアイテムを売買することもできます。デジタルなものにも独自の価値や特別感を持たせるのに使われています。

※注意点※
当ページ中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。