Internet Computer(インターネットコンピューター)

Internet Computer(ICP)
AWS、Google Cloudを置き換える分散型クラウド「World Computer」の実現へ
プロジェクト概要
Internet Computer(ICP)は、ブロックチェーンの技術を使って「次世代のインターネット」をつくろうとしているプロジェクトです。現在のインターネットは、AWSやGoogle Cloud、Azureなどの大企業が管理する「中央集権型クラウド」に依存しています。ICPはこれを置き換え、誰にも止められず、検閲もされない「分散型クラウド」を目指しています。つまり、個人や企業が自由にアプリやサービスを動かせる“真のWeb3型インターネット”の実現を目指しているのです。
ICPの特徴は、ただのブロックチェーンではなく、Webサイトやアプリのデータまですべてをブロックチェーン上で動かせる点にあります。これを「World Computer(世界のコンピューター)」構想と呼び、フロントエンド(見た目の部分)からバックエンド(裏側の処理)までを1つの仕組みで構築できます。ここで使われる「スマートコントラクト」は、ICPでは「キャニスター」と呼ばれ、自動でプログラムを実行する小さな仕組みのことです。
このプロジェクトは、スイス・チューリッヒにある非営利団体「DFINITY財団」が運営しています。メンバーには、GoogleやApple、IBMなど出身の有名エンジニアや暗号技術の研究者が多数参加しています。創設者のドミニク・ウィリアムズ氏は、「インターネットを企業の支配から解放し、みんなが自由に使える世界をつくる」ことを理念に掲げています。
✓ ICPの最大の特徴:Chain Fusion技術
・Bitcoin、Ethereum、Solanaとの直接的なマルチチェーン統合
・ラップドトークン他の通貨を一時的に包んで別チェーンで使う仕組み)やブリッジ(資金を移動させる中継システム)不要のネイティブな相互運用性
・ICP側のスマートコントラクト(自動で動くプログラム)が複数チェーンを直接操作・調整
トークン情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ティッカー | ICP |
| 分野 | AI |
| 価格 | ¥785.92 |
| 時価総額 | ¥424,805,831,403(36位) |
| 国内上場 | 未上場 |
| 海外取引所 | Binance, Coinbase Exchange, Bybit, OKX, Bitget, KuCoin, etc. |
| 対応ウォレット | Binance Web3 Wallet, Trust Wallet, Ledger, etc. |
上記データは2025年11月19日時点の情報となります。
トークンの使用用途
- ガバナンス投票 → NNS(Network Nervous System:ICP全体のルールを自動で管理する“運営システム”)を通じて、重要な方針を投票で決定
- ステーキング報酬 → ICPを「ニューロン(投票用の専用口座のような仕組み)」として一定期間ロックし、運営に参加すると報酬を得られる
- 取引手数料 → 取引の実行時に消費され、バーン(焼却)される
- ノード報酬 → ネットワークを支えるノード提供者に支払われる報酬として発行
ICPのトークンエコノミクスは長期的なガバナンス参加を促進する設計となっており、ニューロンにロックする期間が長いほど(最大8年)、また古いほど、より多くの投票力と報酬を獲得します。これにより、短期的な投機ではなくプロジェクトの長期的成長を応援する参加者が優遇される仕組みが実現されています。
事業モデル
ICPの事業モデルは、分散型クラウドとして提供する利用料(手数料)が中心です。ユーザーがキャニスター(スマートコントラクト=自動で動く小さなプログラム)を使うとき、「Cycles」と呼ばれる内部通貨を消費します。このCyclesはICPトークンで購入する仕組みのため、利用が増えるほどネットワークに価値が戻る構造になっています。
📊 主な経済設計
① コンピューティング手数料(キャニスター実行でCyclesを使用)
② ストレージ手数料(データ保存にかかる容量の利用料)
③ ガバナンス報酬・ノード報酬(ネットワーク運営に参加するステーカーやノードへのインセンティブとして新規発行)
これら収益はトークンバーン(焼却)と新規発行のバランスを通じてデフレーションとインフレーションを調整し、長期的な価値安定性を実現する設計になっています。また、ガバナンス提案が却下された際には10 ICPがバーンされる仕組みがあり、質の低い提案を防ぎ、ネットワーク運営の質を高める工夫も組み込まれています。
トークン需要との相関関係と現状フェーズ
ICPのトークン需要は、プラットフォーム上のコンテンツ・アプリケーション需要の増加と高い相関を持っています。より多くのdAppsがオンチェーンで稼働し、トランザクション数が増加するほど、Cycles購入需要が高まるため、ガバナンスへの参加とともにICPへの需要が拡大します。
🔄 需要拡大のメカニズム
- Chain Fusion統合の拡大 → Bitcoin、Ethereum、Solanaとのクロスチェーン利用が増加し、マルチチェーンDeFiの需要が急増
- Caffeine AIの普及 → ノーコード開発でdApp数が急速に増加、プラットフォーム利用率が向上
- オンチェーンAI推論機能 → 医療診断、市場分析などのAI実行需要が本格化、コンピューティング手数料の大幅増加
📈 現在のフェーズ:成長加速期(ポスト・初期段階)
2025年11月17日時点で、時価総額約4200億円を記録し、2024年11月比で堅調に推移しています。24時間取引量は約590億円、循環供給量は540.7百万ICPとなっており、市場流動性は十分です。1,230%のChain Fusion活動増加との稼働、開発者数が前年比30%増加している点から、プラットフォーム採用の加速局面にあることが示唆されています。TVL(Total Value Locked)も約2,800万ドルに達し、DeFiエコシステムの成熟度が向上しています。
プロジェクトの強み
1. Chain Fusion技術による真のマルチチェーン統合
実装時期:2024年~現在(継続発展中)
ICPの最大の差別化要因は、ブリッジに頼らない直接的なマルチチェーン相互運用性です。従来のクロスチェーン連携では、セキュリティリスクの高いラップドトークンやブリッジを経由する必要がありました。2024年のChain Fusion活動が1,230%増加した実績から、この技術が市場で急速に評価されていることが明確です。
Bitcoin、Ethereum、Solanaのスマートコントラクトと直接通信でき、ICP側のキャニスターが複数チェーンのアセットを直接管理・操作可能です。例えば、DAO投票がEthereumで実行されるのを検知して自動的にBitcoinから資金移動するといった、従来は不可能だったユースケースが実現しています。ckBTC、ckETHといったチェーン・キー・トークンは既に1:1で裏付けされており、低コスト・高速なクロスチェーンSwapが数セントで実現されています。
2. Caffeine AIによるノーコード開発プラットフォームの誕生
実装時期:2025年7月アルファ版ローンチ、現在ベータ版展開中
2025年7月15日にCaffeine AIのアルファ版がローンチされ、自然言語プロンプトだけでオンチェーン・アプリケーション(セルフ・ライティング・アプリ)が自動生成される機能が提供されました。これは、プログラミング知識がないユーザーでもAIを通じてdApp開発が可能になることを意味しており、Web3開発の民主化につながります。
従来はSolidityやRust、Motokoといった専門知識が必須でしたが、Caffeine AIにより開発者参入障壁が劇的に低下し、エコシステムのdApp数爆発的増加が予想されます。すでにオンチェーンアプリケーションは1,000以上が稼働しており、今後この数が数倍に膨れ上がる可能性が高いです。
3. 大手テック企業出身の世界的エンジニアチームによる高度な技術開発
実装時期:2021年ネットワークローンチ~継続中
DFINITY財団のコアチームは、Google Chrome V8エンジンの元チームリーダー(Andreas Rossberg博士)、WebAssemblyの共同作成者、Ethereum 2.0で使用されるBonneLynShacham署名の開発者(Ben Lynn博士)など、世界最高峰のエンジニアで構成されています。
これまでに200件の特許を保有し、合計10万近くの学術引用を有する組織が、プロトコルアップグレードやスケーラビリティ向上に継続的に取り組んでいます。2025年のスケーラビリティ向上(1秒あたり10,000トランザクション処理、永続メモリを500GB拡張)といった野心的な目標の達成には、世界一流のR&Dチームの存在が不可欠です。
重要マイルストーン
ロードマップのタイムスパン:2025年~2027年(3年間)
📅 2025年(現在進行中)
・Caffeine AIアルファ版ローンチ(7月15日完了) → 自動コンテンツ生成dApp開発が可能に
・サブネットストレージ2倍化(8月20日完了) → 94TiBまで拡張、大規模dApp対応
・Dogecoin統合予定(年内) → さらなるクロスチェーン連携の拡大
・オンチェーンAI推論の本格展開 → 医療診断、市場分析など実装加速
📅 2026年(予定)
・Caffeine AI一般提供開始(Q4 2025 ~ 2026) → ノーコード開発プラットフォームの全社展開
・vetKeys Privacy Protocol実装(Q1 2026) → 機密スマートコントラクト機能が利用可能に
・ガバナンスアップグレード(Q1 2026) → DAO参加の簡素化とトークンエコノミクス最適化
・Bitcoin DeFiハブの本格稼働 → Chain Fusion技術を活用したBTC資産流動性向上
📅 2027年以降
・Web3インフラの主流化 → 分散型クラウド市場で主要プロバイダを目指す
・AI×ブロックチェーンのフルスタック実現 → オンチェーン大規模言語モデル運用
・GAFAを超えるマーケットシェア獲得に向けた施策展開
これら複数年にわたるマイルストーンは、単なるプロトコル改善ではなく、インターネット自体のあり方を変えるという壮大な野心を示しています。Caffeine AIから始まる「自動生成型Web3」、vetKeysプライバシー実装による「秘密計算の民主化」、そしてBitcoin DeFiハブの完成といった施策は、2030年までに世界のクラウドインフラの地図を塗り替える可能性を秘めています。
※ 本記事に記載されたデータおよび分析は、2025 年 11 月 19 日時点の情報に基づいています。
暗号資産市場は高いボラティリティを有しており、投資判断に際しては自らの判断と十分なリスク管理を行ってください。
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※注意点※
当ページ中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。
